クジャクの求愛行動

小さな地球で働く何でも屋さんの話。

~It's a small world project~

【100万円と1cmの余裕。】

「彼女は、生き急いでるね。」

 

 

小学校時代からの親友のお母さんが私の事をそう描写した。

 

 

 

小学生のときから、常にハングリーで、何かしていないと気が済まない。

 

 

同級生が1のことをやっているあいだ、私は5のことを済ませている。

 

特別何かに長けているとかではなく、ただ、人生を無駄にしたくないがために短時間で色々している。

 

 

友達は私が「異次元空間の生き物」と本気で信じていたようだ。

 

 

なぜそうなってしまったかは分からないが、いつも肩に力が入っていた。

 

 

今でこそ、「休む」というアイテムを手に入れたが、人生走り続けてきた。

 

 

 

 

よくも、わるくも、私はずっと走ってた。

 

 

 

 

17歳になった瞬間、父が他界した。

 

 

そこから、「家庭環境のせい」にするのは絶対にしたくないと心に決めた。

 

昔から欲張りで、

 

・ダンスしたい

 

・英語を勉強したい

 

・バイトをして自分でお金を稼ぎたい

 

・国際交流、ボランティアもしたい

 

・学校の成績は誰にも負けたくない

 

・英語教師の免許を取りたい

 

・留学したい

 

 

家庭環境が複雑になった16歳〜21歳頃まで、

 

全力で走った。

 

今思えば、早く大人になりたかったのかも。

 

ピーターパンに憧れつつも、大人に近づきたかった。

 

高校は、食堂のご飯がおいしいけど宿題が鬼のように出る学校だった。

 

部活には入らず、ダンスを公園や駅前で踊り、

 

バイトは居酒屋で社員並みに働いて海外旅行資金をためた。

 

貯金は海外旅行で自分の視野を広げるため、

 

普段はポケットに7円ほどしか入っていなかった。

 

毎日寝る時間は平均4時間。

 

 

大学に入るとそれが3時間ほどになっていた。

 

 

 

大学には正直、親のお金で学ばせてもらってるのに不真面目で勉強しない人がたくさんいた。

 

幸い、私は英語の特進クラスに入れたのでたった14人の少人数制の環境で英語浸けの日々を送る事ができた。

 

友達は少なかったが、本当に一緒にがんばれる仲間がそれだけいれば充分だった。

 

 

片親だからとか、お金がないとかで、芸術や自分のしたいことを我慢するのは以ての外。

 

授業も学ぶ事が多くて、さぼるなんて論外だった。

 

9:00~18:00 勉強

1.5時間かけて帰宅

19:30~23:30 居酒屋でバイト

24:00~朝4:00 TSUTAYAでバイト

7:00起床

 

こんな走りすぎな日々を続けていた。

 

 

「○○がやりたいけど、お金ない、時間がない〜」

 

と、ボヤく人の話をきいても

 

「なんも挑戦してないからやろ。」

 

と思いつつも、

 

人にはそれぞれキャパシティーがあるから、自分の考えは押し付けちゃダメ!

と、心にとどめる事もしばしば。

 

 

 

私にはその忙しい日々があっていたんだと思う。

 

その日々をこなしている自分に自信がわいてきた。

 

 

でも、同時にいつも緊張状態のため、少しずつ体力的・精神的にまいっていた。

 

 

片親で一生懸命育ててくれる母。

頼ればドンと受け止めてくれることは分かっていても、

自分の力で成し遂げたい。

 

そうやって、見えない鎧をかぶり続けて強いふりをしていた。

 

 

ある日、気づいたら涙が止まらなくなっていた。

 

 

いよいよ、限界がきたんだろう。

 

何か分からないものと戦い続け、

 

がむしゃらに走っていた。

 

アニメでいうとエヴァの世界に一歩踏み入れていた状態だろう。

 

 

それを見かねた母が、

 

 

トントン。

 

 

部屋の戸を叩いた。

 

 

 

 

「あなたががんばってるの、分かってる。

 

 

私に頼らないでがんばろうとしてるのも知ってる。

 

 

でも、身体が限界にきてるんでしょ。

 

 

ダンス

英語

留学

バイト

 

 

どれか1つやめなさい。

 

 

もう、見てられない。」

 

 

私にはどれも絶対にやめることはできなかった。

 

 

人生がかかってる。ここでやめたら試合終了。

 

 

でも、同時にこんなに母を悲しませている自分のふがいなさが許せなかった。

 

 

すると、

 

 

見た事も無いものを母が私に差し出した。

 

 

 

 

 

 

 

100万円束。

 

 

 

 

ナニワ金融道の世界しか見た事ない代物。

 

 

まさかのCG?

 

 

厚みが1cmにものぼる諭吉のミルフィーユ。

 

 

母は、極道の妻ばりにこういった。

 

 

「あんたが1つも欠かしたくないのは分かってる。

 

 

だからせめて、この100万もって、バイトを減らして留学の夢を叶えなさい。」

 

 

 

正直、普段温厚な母がここまで腹くくって話をしてくれたことだけで

 

 

ずいぶん私の心は楽になった。

 

 

 

母自身も、まさか100万円をやすやすと私に手渡すような人ではないのは重々承知。

 

 

でも、この「お説教」と書いて「愛」と読む彼女の極妻ぶりは

 

 

かなりパンチが効いていて効果があった。

 

 

私は、それからそのライフスタイルをやめることは無かったが、

 

 

「病は気から」

 

 

ちゃんと頼ってもいいんだな、という心の余裕が私を大きく成長させた。

 

 

私も、今後母になったとき、娘or息子ががむしゃらなときは

 

 

100万円をちらつかせよう。←

 

 

その後、私はベトナムへボランティア日本語教師として大学から1ヶ月派遣された。

 

 

そこで、

 

「スローライフ」を習得して帰ってきた。

 

 

私に足りなかったのは、

 

 

時間と余裕だった。

 

 

 

時間を生徒や、人との交流に充分につかうことが自分の何よりもの成長材料になった。

 

 

 

バイトせず、生徒にダンスや日本語や落語を教えて、

 

バイクに揺られて湖を見に行く。

 

 

 

私は、大きく、それはそれは大きくなって帰ってきた。

 

 

 

お母さん、ありがとう。

 

 

あの時の極道な一件が無かったら、私はつぶれていただろう。

 

 

 

英語で会話できたり、

 

 

生徒と心通わせたりできる今の日常生活は、

 

私一人で培ったものじゃなくて、

 

学べる環境をつくってくれた人がいたからだ。

 

 

 

 

最近は、やる前から「予測される失敗」を恐れて何も踏み出せずにいる人がいる。

 

 

その程度であきらめるならそれでいいかもしれない。

 

でも、

 

心になにか「これ!」って光るものがあるならダイブしてほしい。

 

 

ていうか、

 

 

しよ。

 

 

あなたの行動は、あなた自身だけじゃなくて、

 

 

思った以上に見てくれてる人がいる。

 

 

 

たった1cmの余裕ができるだけで、

 

 

人生何十倍にも楽しめる。

 

 

 

さ、まずは親や周りに感謝を伝えることから始めてみよう。

 

 

 

もっふんにょ!

 

Norahrhythmix HP

http://chiruda33.wix.com/norahryhthmix